がんと向き合い生きていく

「私は治します」スキルス胃がんと闘う妻は毅然と答えた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Rさんは食事が取れない状態だったため、入院して中心静脈から高カロリー輸液を行い、体力を回復しながら抗がん剤治療を始めることになりました。

「会社でこれまであんなに頑張ってきたのに、そして今まさに花咲こうとしているのに……私には神様はいないのかしら?」

「がんを見つけるのが遅くなり、こんな状態になってしまって、私の人生は何だったのだろう」

 RさんはベテランのE看護師にそう話したそうです。

■愛猫の話題に初めて笑顔を見せた

 4週間ほどの治療で上腹部の痛みなどはなくなり、次第に食事は取れるようになってきました。抗がん剤による副作用はほとんどなく、体調が良くなったある日、自宅へ1泊外泊しました。そして病院に戻ってきたRさんは、E看護師に初めて笑顔を見せ、次のように話されたといいます。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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