猛暑に気を付けたい病気

【糖尿病】フレーバーウオーターで血糖コントロールが悪化

普通の水が一番か?
普通の水が一番か?(C)日刊ゲンダイ

「熱中症対策が盛んに言われていることもあって、糖尿病患者さんや糖尿病予備群の人も積極的に水分補給をされています。しかし、問題は“何を飲むか”です」

 こう話すのは、東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の坂本昌也医師。

 スポーツ飲料など清涼飲料水を飲み過ぎて血糖値が急上昇する急性糖尿病をペットボトル症候群といい、この時季になると、テレビや雑誌などで頻繁に取り上げられる。耳にしたことがある人も多いだろう。清涼飲料水は500ミリリットル当たり50グラム以上の糖分が含まれているものが珍しくなく、通常のスティックシュガーに換算して18本以上。これをひと夏、毎日何本も飲んでいれば、そりゃあ血糖値も上がる。

「さすがに、糖尿病や糖尿病予備群と言われている人には、清涼飲料水を大量に飲む人はそういません。しかし今は、香りと味がついているフレーバーウオーターが各メーカーから販売されています。それらを日常的に飲むようになり、血糖コントロールが悪くなる人が結構いるのです」

 ゼロカロリーのものでも同様だ。理論的には血糖値に影響を与えないように思うが、「フレーバーウオーターに慣れてしまい、ノンカロリーの普通の水が物足りなくなり、ついつい甘い飲料や糖分入りの炭酸飲料に手が出るようになるのではないかと推測しています」(坂本医師)。

 熱中症対策で飲むなら、水かカフェインなしのお茶。カフェインは利尿作用があるため、カフェイン入りのお茶を積極的に飲んでも、どんどん水分が尿として出ていくこととなり、体の中に水分を保つことにはならず、熱中症対策としては効果が薄い場合もある。

 この猛暑の中、屋外での運動は自殺行為に等しい。糖尿病対策のためにウオーキングなどを日課としていた人も、「今はお休み」となるだろう。それ自体は悪くないが、活動量が減ることを補う対策が必要だ。

「涼しい屋内でストレッチやスクワットなどを行う。それが無理なら食事内容で調整する。スタミナをつけなくてはと高カロリー、高コレステロールの食事を取り、血糖コントロールが急激に悪くなる人がいます。ぜひとも気を付けてほしい」

「口当たりがいいから」「水分も取れるから」とスイカや桃など、果物の摂取量が夏に増える人も。果糖は血糖値上昇につながるので、これも避けなければならない。

 最後に、糖尿病の人が熱中症で病院に運ばれた時に忘れてはいけないことを紹介しよう。

「本人かご家族が医師に糖尿病であると伝えてください。熱中症の治療で点滴を打つのですが、かなりの糖が入っています。熱中症は良くなったけど血糖コントロールが悪くなることが往々にしてあります。医師が糖尿病患者と知っていれば、糖の量を減らした点滴になるでしょう」

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