独白 愉快な“病人”たち

「まだ生きなきゃ」いまも乳がんと闘う大月絢美さんの覚悟

大月絢美さん(C)日刊ゲンダイ

■ライブの途中で雷に打たれたような違和感を覚えた

 母の死から、精神的に歌うことができなかった私に、歌う場所を提供してくれたのも主人でした。彼の実家が喫茶店で、「あそこでライブやってみたら?」と。それから2年間、月1回ライブをやらせてもらい、順調に回復していると思っていた矢先、この3月に「再発」がわかったのです。

 ライブの途中で右の首筋から胸にかけてビリビリと雷に打たれたような違和感を覚えました。加えて、ちょうど乳がんができていた辺りにポチッと何かができていたので、検査をしてもらうと肺と腎臓と右鎖骨上リンパに「転移」が見つかりました。ショックでした。でも、心のどこかで「いずれ再発はあるだろう」と思っていたので割と冷静でした。

 とはいえ、今回は「ステージ4」です。乳がんのガイドラインでは根治治療ではなく「延命治療」のくくりになりました。抗がん剤も期間は無制限。がんが縮小して休薬はあっても、基本的には一生、抗がん剤とのお付き合いが続くのです。特に私のがんは「トリプルネガティブ」といって、化学療法については、抗がん剤しか効果がないといわれています。というわけで、脱毛しちゃう前に結婚式を挙げたんです。

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