独白 愉快な“病人”たち

「まだ生きなきゃ」いまも乳がんと闘う大月絢美さんの覚悟

大月絢美さん(C)日刊ゲンダイ

 初めは「パクリタキセル」という抗がん剤を使いました。でも私の体には合わなくて、毎回発作を起こした上に、2クール(8週間)を終えたところで検査をすると、肝臓にも転移し、肺には水がたまり、各腫瘍も少し大きくなっていたんです。6月末から「ハラヴェン」という抗がん剤にしたら発作がなくなり、今のところ順調にきています。

 ただ、3割負担で1回6万2000円という高額な薬で、効果があるかどうかもこれからの検査次第です。幸いがん保険に入っていたので、経済的には助かっています。病気の再発がわかってからは、「今やれることをやろう」と主人とマレーシア旅行や、友人、家族と温泉旅行にも行きました。

 病気になって変わったのは、「誰かのために何かをしたい」と思うようになったことです。それまでは「自分の幸せ」が中心でしたが、弱い人の立場を知ることができて価値観が変わりました。BEC(乳がん体験者コーディネーター)資格を取得したのも、そんな気持ちから。せっかく乳がんになったのだから、私がやっている音楽と乳がん体験を融合させた活動をしたいと思ったのです。最近は、それができるようになってきましたし、おかげさまでやりたいことしかやっていません(笑い)。

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