上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「ヨガ」には心臓にとってプラスになる要素が詰まっている

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 また、数多くの種類があるヨガの中でも、「ホットヨガ」は心臓の健康に役立つと考えられます。ホットヨガは、室温39度前後、湿度60%前後に保たれた環境で行われます。これは、日本で高度先進医療として承認されている「和温療法」と同じような効果が見込めるといえます。

 和温療法は、鹿児島大学医学部元教授で和温療法研究所所長の鄭忠和先生が、重症心不全患者の新しい治療法として確立したものです。室温を60度に設定した遠赤外線乾式サウナ治療室で全身を15分間温め、その後、さらに安楽イスなどに座った状態で30分間保温し、最後に発汗量に見合った水分を補給します。

 体を温めることで全身の血管が広がり、心臓の負荷が軽減されて血液循環が促進されます。心不全や狭心症の治療に使われている血管拡張剤と同じような効果が見込めるのです。

 また、血管内皮機能の改善と血管新生作用があり、動脈硬化を抑制します。余命半年と告げられた重症心不全の患者さんが和温療法を続け、20年以上も元気に暮らしているという例も報告されています。

3 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事