むしろ心拍数と体温が上昇 高齢者は扇風機が“毒”になる

重要なのは「気温」より「湿度」/(C)日刊ゲンダイ

 例えば、短パンのみの男性3人、短パンとスポーツブラのみの女性6人の計9人(平均68歳)を室温42度の部屋の中に座ってもらい、約90センチの距離から扇風機の風を浴びた場合と、扇風機を使わない場合とを比べた米国の実験がある。

 その結果、扇風機を使用すると心拍数が最大で9回/分上昇し、体内温度にも上昇が見られたという。

 例えば、湿度50%での平均深部体温は扇風機なしで約36.8度、扇風機使用時は約37度。心拍数は扇風機なしで79回/分、扇風機使用時は88回/分だった。

 読者の中には「大した差ではない」と思う人もいるかもしれない。しかし、この程度でも、心機能の低下した人には有害となる可能性があると石原院長は言う。

「実験では100分間しか比べていませんが、毎日、高温下でずっとこの生活を続けたら結果が大きく異なる可能性があります。特に高齢者は高血圧や動脈硬化症など、もともと心臓や血管に問題がある人が多い。深部体温の上昇が心臓に極度の負担を与え、高血圧や狭心症などの症状を悪化させる可能性があり、多くの研究者が報告しています」

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