GLP―1受容体作動薬は、①インスリンを分泌させて血糖値を抑える②血糖値を上げるホルモンの分泌を抑制する③膵臓のβ細胞を増殖する④摂取した食べ物の胃からの排出を遅らせる⑤食欲を抑える⑥脳神経の保護をする――などさまざまな作用があります。
さらに、マウスを使った6週間の動物実験で、GLP―1受容体作動薬を使ったマウスの前立腺がんは、使わなかったマウスに比べて、がんの増大が抑制されるという結果が出たのです。
前立腺のがん細胞にGLP―1受容体が多いほどがん増殖抑制効果が高い。それは、GLP―1受容体作動薬が、がん細胞を増殖させる物質の働きを抑制すると考えられています。
GLP―1受容体作動薬のがんの抑制効果については、前立腺以外にも、乳がん、大腸がんで研究が進んでいます。
とはいえ、現在、糖尿病を抱えている方は、「がん予防のために糖尿病治療薬を飲む」というより、「糖尿病はがんと“も”関連している。だから、糖尿病の予防に努めるべきだし、適切な治療を受ける」と考えるべき。
もちろん、肥満解消、禁煙、規則正しい食事、適切な運動、適切な睡眠、ストレス解消なども必須です。
進化する糖尿病治療法