更年期を知って夫婦円満

「生理はまだあるから」「まだ若いから」更年期じゃない?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 友人のRさんは、3人の子持ち。末娘はまだ幼稚園児で、朝は時間がどれだけあっても足らない。ところが最近、目は覚めているのにベッドから起き上がれないことが増え、悩んでいました。

 Rさんは47歳。「更年期の症状では? そうであってもおかしくない年齢だよ」と私が言うと、「そんなはずはない」とすぐに返事がありました。40代で出産し子育て中だから、更年期になるはずがない、と。

 Rさんのような子育て女性に限らず、周囲が心配するほどの不調を抱えているのに、「更年期では?」と言うと、激しく否定されるケースをしばしば経験します。返ってくるのは、「周期は多少乱れても月経はまだある」「自分はまだ若いから早い」など……。

 実は私自身も、40歳になってすぐに手のこわばり、動悸、めまいなどの症状が出たのに「更年期にはまだ早い年齢」と思い込んで更年期障害の受診はせず、何年も不調に悩まされました。

 否定する人の背景には、閉経を「老い」と感じたり、月経がなくなる寂しさがあったりするのでしょう。しかし圧倒的な理由は、更年期に関しての知識不足。月経の教育はされても閉経の教育はなく、いつ、どんな変化が起きるかは、ほとんどの人が知りません。

 閉経に、出産経験の有無や、出産が早い・遅いは関係ありません。今も昔も50歳くらいで迎えます。更年期は閉経を挟む10年間を指し、それによる不調がいつ表れるかは、個人差が大きい。私のように40歳になってすぐに出る人もいれば、30代から出る人、50代になってもほとんどつらさを感じない人もいます。

 しかし、基礎知識がなければ、正しい判断はできません。それどころか、メディアや雑誌の情報をうのみにしてしまい、誤った判断をしてしまいかねない。

「私は更年期ではない」と断じる前に、正しい情報を仕入れてほしい。公的機関、婦人科クリニック、製薬会社が運営する更年期専門サイトや、更年期や女性の健康に関するNPOのサイトなどをお勧めします。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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