上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

負荷をかけ過ぎない運動や生活習慣が心臓を強くする

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 いずれにせよ、自分が気に入った運動や習慣を心臓に負荷がかかり過ぎない程度に続けることが重要です。NHKで放映されている「みんなの体操」では、立った状態で行うものと座った姿勢で行うものの2通りの方法が流されています。心臓にトラブルを抱えている人など、全身を使った体操だと負担になってしまう人に配慮したメニューが組まれているのです。

 これまでも何度かお話ししていますが、負荷をかけ過ぎない=適度な運動の目安は、「心拍数が130を超えない」程度の運動になります。最大負荷のひとつ手前に当たる「亜最大運動負荷」と呼ばれている数値です。

 一般的には、体を動かして心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクしたところが最大負荷と考えられます。心臓に不安がある人は、その一歩手前の亜最大負荷で止めなければいけません。 

 もちろん、それぞれの病状に応じて「適度な運動」の程度は変わってきます。まずは担当医にきちんと相談して、自分に合った運動や習慣を選択していくことが重要になります。ほかにも、入浴の方法やペットの飼育なども注意が必要な場合があります。熱いお湯につかったり、散歩の強度によっては心臓に大きな負担をかけてしまうケースがあるからです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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