上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

負荷をかけ過ぎない運動や生活習慣が心臓を強くする

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

■自分を過信してはいけない

 自分にとって最適な強度や頻度の運動や習慣を確認すると同時に、「自分を過信しない」ことも大切です。私は健康だから大丈夫、もう治ったから問題ない……と思っていても、実際は病状が悪かったというケースもあるのです。

 去る5月、かつて日本外科学会会長を務めた医師が77歳で急逝されました。2006年に著名なプロ野球監督の胃がん手術チームのリーダーを務めた方で、低侵襲手術の第一人者でした。77歳のご高齢でしたが、普段からジムに通ってトレーニングを続け、会合にも積極的に参加するくらい意気軒高でいらっしゃいました。亡くなる直前にお会いした際もお元気だったので、訃報を聞いたときは信じられない思いでした。

 いつものようにジムで体を動かしてから帰宅すると「今日は調子が悪い」と言われたとかで、その後に状態が悪化して病院に搬送され、心不全でお亡くなりになったといいます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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