命にかかわる胆石…健診での発見は非常に困難なため要注意

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 健康診断を受けた人の10~20人に1人に見つかるのが胆石だ。これがもし、胆のうで見つかれば症状が出るまで治療の必要はないが、胆管にできる「総胆管結石」であれば、時間が許す限り早く治療を受けた方がいい。「胆のうの胆石は生涯に症状が出る確率は10~20%。ところが総胆管結石はほぼ100%。明日出るかもしれないのです。治療を遅らせるメリットが一つもありません」(NTT東日本関東病院肝胆膵内科・藤田祐司医師(胆膵グループリーダー)=以下同)

 総胆管結石が胆管の出口に詰まった場合、肝臓、胆のうを経由して流れてくる胆汁がそこで滞り、胆管が膨張。激しい腹痛が起こるだけでなく、もし十二指腸側から細菌が侵入したら、胆管に炎症が起こり、肝臓まで達し、血流に乗って全身へ細菌が回る可能性がある。敗血病を起こし、最悪の場合、死に至る。

 そうなる前に、できれば総胆管結石を見つけたい。どういう方法があるのか?

 まず、健診で見つけられるのか?

「健診で行う腹部エコーでは、総胆管結石は見つけるのはかなり難しいと思います」

 たいていは、激しい腹痛があり、病院を受診して総胆管結石が見つかる。ところが、人によっては痛みがあまりひどくないことも。また、胆管の出口に詰まった総胆管結石がポロリと外れれば、痛みは消える。この場合、総胆管結石が胆管側に戻ったこともありうる。すると、いつかまた出口に詰まる。

 だから痛みが消えても、検査を受けるべきだ。総胆管結石はCTでは確認できないものもあるので、総胆管結石を疑う時はCTで見えなくても超音波内視鏡も行うことが望ましい。そのため超音波内視鏡の検査を行っている消化器内科を受診するのが望ましい。「お腹が痛くなるのはよくある。でも、総胆管結石では、黄疸が出ることもあります。こうなれば、すぐに病院へ」

 黄疸は、最初は尿がウーロン茶みたいに濃い茶色になる。次に、白目が黄色くなり、やがて皮膚が黄色くなる。腹痛があり、発熱もあり、尿の色が濃ければ、黄疸を疑った方がいい。

「総胆管結石は、放っておけば死ぬ病気ですが、治療を受ければよくなる病気でもある。早い段階で治療を受けた方が、患者さんの負担も少ない。少なくとも、腹痛を放置しないことが大切です」

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