医者も知らない医学の新常識

睡眠専門誌で報告 就寝1~2時間前の入浴は安眠につながる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 お風呂に入ることは、古代ギリシャの時代から、健康のための習慣として愛されています。ただ、それは主に傷を早く治したりする効果で、睡眠と入浴との関係が話題となるのは、比較的最近のことです。

 皆さんの中にも、気持ち良く眠るために、寝る前にお風呂に入るという方が多いと思います。しかし、「入浴と安眠」との関係は、どこまで分かっているのでしょうか? 

 今年の睡眠科学の専門誌に、この問題についてのこれまでの研究をまとめた論文が掲載されています。それによると、寝る1時間から2時間くらい前に、40から42度のお風呂に10分以上入ることにより、その後の睡眠に入りやすくなり、睡眠の質自体も改善する、という結果が得られています。

 お風呂に入ると体が温まって、体温が上がり、それが下がってくる時に眠りやすくなるのだ、という説明がよくされていますが、今回の研究の結論はそうではありません。それほど熱くないお湯に比較的短時間入ると、皮膚の近くの血行が良くなって熱を発散するので、体の中の温度(深部体温)は下がるのです。それが心地良い睡眠につながっているようです。熱いお湯に長く入ると、のぼせてしまい、体温も上がってしまうので逆効果になるわけです。

 安眠のためには、のぼせるのは禁物であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事