患者も知らないAPD

声が音声としては聞こえるけど何を言っているか分からない

写真はイメージ(C)PIXTA

「小学校の頃から、自分の聞こえ方に違和感があったんです。他の人は聞き取れているのに、自分だけ何が話されているのか分かっていないことが多過ぎるなって思っていました」

 そう話すのは、真壁詩織さん(22)だ。

 大学生の彼女は、人の話が聞き取れないことに、小さい頃から悩んでいた。しかし、学校や耳鼻科で聴力検査を受けても異常は見つからず、普通に聞こえていますよ、と言われてしまう。

 それなのに、日常の中で、自分だけが先生や友人の話が聞き取れていない、ということが多過ぎることに、ずっと戸惑い続けてきた。

「学校の授業でも、先生の声が音声としては聞こえてくるんですけど、何を言っているのか分からないから、そのうち聞き取るのを諦めちゃう。それでも、小学校・中学校のときは、教科書を読んで勉強していたら、普通にテストの点数も取れたので、そんなに困らなかったんです。それが高校になると、一気に勉強が難しくなって、ついていくのが大変になった。もっと苦労したのは大学です。大学って教科書はあってないようなもので、授業で話されたことがすべて、みたいなところがあるので、急に勉強ができなくなってしまったんです」

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