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インプラント治療 安過ぎる金額を提示する医院は避けるべき

写真はイメージ
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【Q】インプラント治療は金額が高ければ安心なのでしょうか?

【A】インプラント治療は保険診療ではなく自由診療(自費診療)です。金額で医院の良し悪しはわかりませんが、料金設定が自由とはいえ、安過ぎる金額を提示する歯科医院は避けるべきです。また、高ければ安心ということでもありません。

 歯科医院のHPを見ると20万~60万円台の幅があり、もっと高額な治療費を提示する医院もあります。ちなみに、当院では45万円か50万円(税別)が基本料金となります。

 金額に差があるのは、メーカーが複数あって、材料費に差があるためです。間違いなく言えるのは「安過ぎるのは疑うべき」ということです。なぜなら、インプラント治療を行うには多くの経費がかかるからです。

 実際どのような経費がかかるのかというと、まず必要になるのがCT検査と血液検査で、これだけで5万円ほどかかります。検査後は1次手術、2次手術、型取り、仮歯を経て最終的に上部構造(かぶせ物)が入るのですが、すべての工程にコストがかかってきます。

 HPや看板で非常に安い治療費をうたい文句にしている歯科医院を見かけますが、治療にかかる医療経費、人件費、そして減価償却費を考えると、それがなぜ可能なのか不思議です。もしかしたら僕の知らない非常に安いメーカーがあるのかもしれませんが……。

 以前、「海外で入れたインプラントがグラグラしてきた」と訴えて来院された患者さんがいました。レントゲンではメーカーを特定できなかったため、手術を行った病院に問い合わせると、A社というメーカーでした。しかし現在、そのメーカーは存在しないため、残念ながら修理することができないという結論に至りました。

 歯科医院を選ぶ際は、実績のあるメーカーのインプラントを採用していて、ドクターがそのインプラントの特徴をきちんと説明でき、なおかつ治療費の内訳をちゃんと提示してくれるかどうかを確認しましょう。すべてクリアしている医院であれば、信用してもいいかもしれません。

(構成=小澤美佳)

北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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