患者も知らないAPD

同じ職種でも職場が変わったら聞き取れなくなることも

写真はイメージ

 大学1年生のときにAPD(聴覚情報処理障害)と診断された真壁詩織さん(22)は、子供の頃から自分が周囲の人より話が聞き取れていないことに違和感を覚えていたという。

「とはいえ、子供の頃は友達付き合いにそんなに苦労したことはなかったんです。でも、大人になってからその頃の友達に聞いてみると、私だけがクラス全体の雰囲気に気付いていなかったり、聞き返したりしていたと言っていました。大勢での会話が苦手なので、ずっと自分はコミュニケーション障害だと思っていたんですけど、1対1ならちゃんと話せる。若者グループのコミュニケーションって、言葉の意味よりも雰囲気で会話するところがあるので、余計についていけなかったのかもしれませんね。電話も苦手ですが、最近は友達とのやりとりはLINEが中心なので、楽になりました」

 現在、福祉の仕事をしている横田啓司さん(仮名)も「小学校時代からぼーっとしていて、皆が教室を移動するのに自分だけ気付いていなかったり、天然みたいに言われていました。サラリーマンは無理だと思ったので福祉の仕事に就いたのですが、利用者さんと1対1の話なら大丈夫でも、会議とか、他の職員も含めて3、4人での話とかになるとついていけないことはよくありますね」と話す。

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