医師の常套句「様子を見ましょう」の真意

BMI22はあくまで標準の中の理想 24.9を目標に無理なく減量

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
ダイエット編

 ちょっとの減量で、いろいろな数値が改善することはよくあります。

 肥満があるかどうかは、診察室で患者さんを診れば大体分かりますが、BMI(体格指数)でチェックするのがセオリーでしょう。体重(キロ)を身長(メートル)で2回割って求める数値で、18・5未満が痩せ形、18・5~25未満が標準、25以上が肥満に分類されます。

 標準には、かなり幅があるのがミソ。標準の中でも理想は22です。肥満の人がいきなり理想を目指してダイエットするのはハードルが高過ぎるので、私はこう言います。

「まずは24・9を目指して様子を見ましょう」

 そう、ここでいう「様子を見ましょう」とは、「無理のない範囲で減量しましょう」ということです。

 たとえば身長170センチ、体重75キロの人がBMI22を目標にすると、理想体重は22×1・7×1・7で、約63・6キロと、12キロ近い減量が必要です。しかし、肥満から標準域に一歩踏み込んだ24・9が目標なら、約72キロと3キロの減量で済みます。この程度の減量なら、やる気になればできます。

 BMIが25以上で、糖尿病や脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群など11の肥満関連疾患のうち1つ以上があると、「肥満症」と診断されます。「肥満」は肥満の状態ですが、「肥満症」は医学的な病名です。

■体脂肪を落とす糖質オフ

 患者さんにとっては些細な違いでも、肥満とこれらの病気は結びつきが強いということ。そうはいっても減量はとても大変なので、そのハードルはなるべく低い方がいいでしょう。そのための手段が「BMI24・9」の目標設定であり、「様子を見ましょう」です。

 3キロ減をクリアしたら次のハードルは何でもいい。キリがいいところで「70キロ」はいかがでしょうか。

 1回の成功体験がありますから、2キロの減量は簡単です。そういう積み重ねで、目標体重に少しでも近づけるといいでしょう。

 同じ体重、同じ身長でも、一人は肥満、もう一人は標準と診断されることがあります。なぜか。それは、体脂肪率の違いです。男性は、体脂肪率20%以上が軽度肥満、25%以上が中度肥満、30%以上が高度肥満。体脂肪を落とすには、低糖質、低脂肪、高タンパク質の食事が基本。流行の糖質オフです。低糖質と高タンパク質を柱に減量してみてください。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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