患者も知らないAPD

明確な治療法がなく生活上の不便を解消するテクニックが重要

「ミルディス小児科耳鼻科」院長の平野浩二氏/(提供写真)

 大学1年のときにAPD(聴覚情報処理障害)と診断された真壁詩織さんは、コンビニのバイトで、よくお客の言ったことを聞き返しては怒られていたというが、ある時、あまり怒られない方法を編み出したという。

「レジ横にいろいろな揚げ物が売っているのですが、○○ください、と言われて、その○○が聞き取れない。ある時、何ですか? じゃなくて、とりあえず『唐揚げ棒ですか?』と聞き返すと、『そうです』とか、『じゃなくて○○です』などと答えてくれて、あまり怒られないことに気付きました」

 現在、APDには、明確な治療法がないため、生活上の不便を解消するためのさまざまなテクニックが重要となってくる。たとえば、なるべくメモをしてもらう、職場のテレビを消してもらう、などの工夫があるが、それには職場の上司や同僚の理解が必要になる。「聞こえているのに聞き取れないAPD聴覚情報処理障害がラクになる本」(あさ出版)の著書がある、耳鼻咽喉科専門医で「ミルディス小児科耳鼻科」(東京・北千住)院長の平野浩二氏(写真)はこう解説する。

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