後悔しない認知症

実の息子よりも嫁の来訪を喜ぶ親も 多く接することが大事

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 家族を含めて見舞いに訪れる人が少なければ「機嫌よさの種」に触れる機会が減ることは当然だ。さらに、病院のスタッフとのコミュニケーションもフレンドリーさを欠けばお互いにストレスが増す。自らが機嫌よさの芽どころか種をスポイルしていると言えなくもない。脳にいい影響を与えないことは明白だ。だから、子どもとしては、この「機嫌よさの種」の提供を忘れないことだ。

「先日、親を見舞いに行って愕然としました」

 私の知人男性の話だ。久しぶりに親が入居する介護施設を訪れたときのこと。施設のスタッフが、共用サロンでくつろぐ彼の母親に来訪を伝えた。

「大好きな人が来ましたよ」

 母親はこう言い、表情は一瞬、ほころんだが、長男である知人を認めるとガッカリした表情でこうささやいたという。

「なんだ、K美さんじゃないのか」

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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