患者さんが病院で亡くなられた際、多くの場合は看護師が死後の処置を行ってくれます。口腔や肛門の処置、目や口が閉じない時など、ベテランの看護師は上手に対応してくれます。
ご遺体の化粧や希望する服を着せる場合は、ご遺族と一緒に行うこともあります。私が担当した若い女性患者さんが亡くなった時、彼氏が用意したウエディングドレスを着せたことがありました。思い出すと今でも涙が出ます。
亡くなっても人なのです。死体、モノではなくご遺体です。先ほどまでお話しできていた方も多いのです。魂が宿っていたのです。
哲学者の篠原正瑛は「ヒューマニティーの語源は『埋葬する』という意味、ご遺体を粗末にして人を愛することなどできるはずがない」と語っています。
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