「アップルウォッチ」や「フィットビット」など、腕時計型の歩数計は、一般に「活動量計」と呼ばれています。「歩数」だけでなく、「消費カロリー」と「脈拍」が記録できます。
ジョギング、サッカー、登山など運動の種類を選んで記録できるものもあります。睡眠中は眠りの質を判定してくれますし、血圧を連続的に測れる機種もあります。
今や活動量計は健康志向の人々にとって、必須アイテムになっています。
ご存じのように、活動量計をスマートフォンと連動させると、使い道がぐっと広がります。
たとえばオムロンのアプリをダウンロードして、同社の活動量計、血圧計、体重計をBluetoothでつなぐと、データを自動的に吸い上げてくれます。毎日の数値をスマホ画面に表示させたり、たまったデータをグラフ化できるため、長期的な血圧変動や体重変化を確認するのにも役立ちます。他社も同様のアプリを用意しています。データをスマホだけでなく、クラウドサーバーに保存してくれるサービスを提供している会社もあります。
もちろんアプリを使わなくても、データ管理はある程度まで可能です。数字をメモ帳に書き留めておけばいいのです。パソコンがあればExcelに手入力して、グラフを作ることもできます。
ただ、毎日忘れずにメモしたり入力したりするのは、意外と手間で長続きしません。その面倒を省略しただけで、健康管理のアプリがこれほど普及したのです。
ただし、課題が残されています。ひとつはメーカー互換です。オムロンのアプリはオムロン製品しか使えませんし、他社も同様です。オムロンの血圧計とタニタの体重計とテルモの体温計を、ひとつのアプリで管理しようとしても無理なのです。すべて同じメーカーで揃える必要があります。
またスマホにたまった自分のデータをパソコンなどに取り込んで、自分で加工しようとしても、なかなかうまくできません。データをすんなりとダウンロードできるようになっていないのです。それが簡単にできれば、機器の選択の幅も、データの使い道も、今よりずっと広まるに違いありません。
しかし、そんなことを実現できる方法が、実際にあるのでしょうか。
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。