「肺や肝臓のがんは、呼吸でがんの位置が大きく移動することがあり、移動量を含めた広い範囲に照射せざるを得ませんでした。しかし、動体追尾照射でがんを追いかけ照射できる。照射範囲を狭くでき、不要なところに放射線を当てない」
定位照射は、転移したがんに関しても、これまで脳転移、肺転移、肝転移などに用いられてきた。わずかな副作用で良好な効果が得られているが、最近、海外の研究者によって「痛みなどの症状緩和の治療だけよりも、転移したがんに積極的に定位照射を行った方が、生存期間の延長が認められ、今後の治療指針に変更が加わるかもしれない」と発表された。
さらに放射線治療は、京都大学・本庶佑特別教授が発見し、ノーベル賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬との相性がいい。特に高精度放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬の併用で、さらなる治療成績の改善が期待されている。