独白 愉快な“病人”たち

一時は絶望のドン底…ノブナガ岩永達彦さん語る機能性難聴

岩永達彦さん(C)日刊ゲンダイ

「なんかしゃべってくれ!」

 ルームシェアしている後輩にそう言ったんです。しゃべっている表情と気配はあるのに、声はまったく聞こえませんでした。

 いやぁ、そのときはもう絶望感しかありませんでしたね。

 それは、今年3月でした。ある朝いつものように起きたら、目覚めるなり気分が悪かったんです。気づけば笛のような高い音の耳鳴りが頭の中に響いていました。起き上がると急に立ちくらみと吐き気に襲われ、トイレに駆け込んで吐いたとき、吐く音がしてないことに気づき、初めて耳が聞こえないことが分かったんです。

 よく考えれば、布団から出るときの音やトイレまでの足音など、もっと前に気づいてもよかったんでしょうけど、耳鳴りのせいで気にならなくて……。で、パニック状態で後輩の部屋に行って「なんかしゃべってくれ」となったわけです。

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