独白 愉快な“病人”たち

一時は絶望のドン底…ノブナガ岩永達彦さん語る機能性難聴

岩永達彦さん(C)日刊ゲンダイ

 左耳は聞こえないまま、ここ何カ月も変化はありません。相方は「それ以上は治らんやろ」とちゃかすし、医者もはっきりしたことは言いません。でもこれに慣れてきたので日常生活には困りませんし、ここまで回復できたことが喜びです。

 こんな病気になってつくづく考えたのは、やっぱり健康に生きることが一番だということ。日本人は無理して働くクセがあるじゃないですか。それはもちろん素晴らしいことなんですけど「普通の生活ができなくなるまで無理するのはバカみたいだな」と思ったんです。今は「すっごくつらいときは逃げたろ」と思ってますし、もし誰かが同じ病気になったら「病気に立ち向かおう」より「逃げていいよ」って言います。

 性格的には相変わらずの心配性です。たとえば、耳のことをイジられたとき、「“耳イジってもうてゴメンな”と思わせないように返さな」と思ってしまうんです。「“ほんまに怒った?”と思われへんような顔せな」とか。そんな細かい自分、めちゃめちゃ嫌なんですけど、急には変われなくて……。けど、それも全部ひっくるめて「ま、いいか」と思うようにしています。

(聞き手=松永詠美子)

▽いわなが・たつひこ 1993年、大阪府生まれ。2016年に「ノブナガ」を結成しフリーで活動。2017年からは太田プロダクションに所属している。

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