ようこそ!不老不死レストランへ

豊富な栄養素を余さず生かすフランスの家庭料理の知恵

牛乳、ローズマリー、ニンニクを加えて煮立てたら、弱火にして約20分煮込む(C)日刊ゲンダイ

 さて、牛乳についていえば、それは本来、子牛のためのもので、人間がかすめ取っているという点では収奪していることに変わりはない。人間が牛乳をいただく代わりに、安価な代替飼料である肉骨粉(他の動物の死骸から作られた餌)が与えられたことによって英国で狂牛病が大発生した。ヒツジの伝染病が餌を通じて乳牛に感染したもので、草食動物である牛を、強制的に肉食動物に変えるという蛮行がもたらした人災だった(現在は禁止)。

 効率のために自然のサイクル(この場合は食物連鎖)に安易に介入すると、大いなるリベンジを受けることになるという教訓がここにはある。心して食材をいただかなくてはなるまい。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

5 / 5 ページ

関連記事