多くの場合、冠動脈のズレが1~1・5センチ程度になると命に関わるトラブルにつながってきます。では、1ミリ、5ミリのズレはどのような影響があるのか。冠動脈のズレがどのような状況になっているとリスクが大きくなるのか。そうしたより細かい点を検証する研究です。
こうした研究はこれまで行われていないので、この先さらにデータが積み上がってくれば、非常に有意義なものになるでしょう。突然死の防止や心臓疾患の予防に大いに役立ちます。
たとえば、心臓から冠動脈が出ている高さが少し違っているだけで、その後の動脈硬化の起こり方が変わってくる傾向があります。位置が高くなるだけ「ずり応力」(液体の移動に対する抵抗力)と呼ばれる力が大きくなるためです。心臓が収縮するたびに血管が大きなずり応力を受けていると、力がかかっている箇所がだんだん硬くなってくるのです。今回の研究では、冠動脈のズレによる短いスパンのリスク検証だけでなく、長期で見た場合にどんな影響があるのかも見ていきます。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」