歯の疑問 ずばり解決!

インプラントの「保証」が逆に患者を縛る制約になる場合も

ただでさえ高額なインプラント

 セカンドオピニオンを求めて来院された31歳の女性がいました。すでにインプラントが3本入っていましたが、「もう1本埋入しなければ」と主治医から言われ、僕に意見を聞きに来たのです。しかし詳しく話を聞くと、本当の問題点は4本目が必要なのか否かではなく、「ただでさえ高額なインプラントの本数を、さらに増やそうとするその医院に不信感を覚え、もう行きたくない」ということでした。

 ちなみに僕が診察したところ、その歯はまったく抜く必要はありませんでした。とは言うものの、保証を受けるため追加で数十万円支払ってしまっていて、通院をやめたら保証は消えてしまう……。患者さんの不安感を減らすはずの保証によってジレンマが生じているのです。

 医療に絶対はありません。たとえ、がんの手術を名医から受けたとしても再発しないとは言い切れず、もし5年以内に再発したらタダで再手術しますよ……なんて制度は聞いたことがありませんし、当院でも保証はしていません。

 (構成=小澤美佳)

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北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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