医師の常套句「様子を見ましょう」の真意

腕と足の血圧で測定 動脈硬化検査で異常あれば血管内治療

カテーテル治療の後は生活習慣をきちんと治療
カテーテル治療の後は生活習慣をきちんと治療(C)PIXTA

 血管にコレステロールがたまって、動脈硬化を起こすと、心筋梗塞や脳卒中など重大な血管病を起こすリスクが高くなります。心筋梗塞の手前の狭心症は、激しい胸の痛みや息切れなどの症状が見られますが、症状をアテにして治療を先延ばしにするのは、よくありません。発症前に治療するのが無難です。

 脂質異常症をはじめ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある人は、動脈硬化の状態を定期的にチェックするといい。その検査が、血圧脈波検査のCAVIとABI。CAVIは動脈の硬さを、ABIは下肢動脈の狭窄を知ることができます。

 難しそうな検査をイメージするかもしれませんが、とても簡単。ベッドに寝て、血圧を測るカフを両足首と両腕に巻くだけです。CAVIは、カフを50㎜Hgの圧力で数秒ホールドして、測定。ABIは、左右に分けて血圧を測り、右側を測定してから左側を測ります。検査時間は5分ほど、着替えを含めても15分で終わります。

 CAVIは9・0を超えると、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすく、ABIは0・9を下回ると足の動脈が詰まる閉塞性動脈硬化症に。閉塞性動脈硬化症そのものは命の危険はありませんが、放置すると足の壊疽を起こして足切断の恐れもあるほか、将来的には心筋梗塞や脳卒中を併発しやすいので、やっぱり侮れません。

 頚動脈の狭窄を調べるのが、頚動脈エコー。首に当てたプローブから超音波を照射するだけですから、これも簡単でしょう。

 いずれかの検査で異常が見つかり、カテーテル治療で狭窄を解消すれば、入院期間も短くて済みます。仕事への支障もほとんどありません。仕事と治療を両立する上でも大きなメリットがあります。

 治療後も不摂生を続けたら、せっかくの治療も台無しです。再び動脈硬化が進み、やがて心筋梗塞を起こしかねません。ですから、カテーテル治療の後は、原因となった生活習慣病をきちんと治療して、「様子を見る」ことが大切です。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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