がんと向き合い生きていく

あなたらしく生きる…余命3カ月を告げられて気づいた思い

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 夜になって、妻と社会人の娘に病院でのやりとりを話しました。

 ◇ ◇ ◇ 

娘「お父さん、それは医者の言い逃れよ。もう治療法がないから厄介払いなのよ」

Aさん「まだ体力はあるし、あと3カ月しかないなんて思えない。がんと闘うことしか考えてこなかった」

妻「医者は余命を短く言いたがるって聞いたけど、こんなに元気なお父さんがあと3カ月ってありえないよ」

娘「私の会社の上司は、あと6カ月の命だって言われてからもう6年になるって聞いたわ。今も元気よ!」

 ◇ ◇ ◇ 

 妻も娘もあっけらかんとしていたので、Aさんはむしろ助かった気がしました。

 娘から「セカンドオピニオンを受けるのはどう? 他の病院で、もう治療法がないのか聞いてみるのよ。B先生に経過を書いてもらって、他のがんの専門病院に行ってみたら?」と提案され、「そうだな、そうするか」と決心しました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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