さらに、東大と第一三共の共同開発による遺伝子治療薬「G47Δ(デルタ)」についてこう述べる。
「脳腫瘍の患者を対象にした大手製薬会社による国内初の遺伝子治療薬です。現在、厚労省に保険適用の申請を準備中で、早ければ来年にも販売が見込まれています」
難病に苦しみ、治療法がなくなった患者にとって、遺伝子治療は最後のとりでといえる。遺伝子治療を行っているさくらクリニック(東京都渋谷区)の吉田治院長が解説する。
「遺伝子の解明でいろいろな病気の発症の原因が分かり、まだ一部ですが、遺伝子の投与による有効な治療法が開発されています。今後、がんだけでなく糖尿病、認知症の患者さんを治す遺伝子治療に伴う新薬が次々に生まれ実用化されてくれば、高価な薬代も徐々に安くなります。そしてさまざまな病気に対し、遺伝子治療が確立されていくでしょう」
遺伝子治療薬への期待は大きい。
(ジャーナリスト・木野活明)