Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

末期がんで激痩せには要因3つ 悪液質を避ける肉・魚と運動

仕事場は本に囲まれていた(高須基仁さん、2018年8月撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 こうした悪循環を断ち切るには、肉・魚などのタンパク質をはじめ十分な栄養を摂取することが大切ですが、心理的な落ち込み、抗がん剤の副作用による吐き気などが重なって、食欲が低下。炎症性サイトカインが脳に作用することによる食欲低下も、少なくありません。

 低栄養と炎症が進み、体重と筋肉が減退した状態が「悪液質」です。免疫力も低下するため、がんの増殖や転移も加速しやすい。

 免疫細胞の半分くらいは、腸にあります。腸は人体最大の免疫装置で、食欲が減退して、腸が使われなくなると、さらに免疫力が下がってしまいます。高須さんのように頑張って活動することは筋肉を保つためにはとてもいいことです。そうすることで、食欲も生まれます。

 がんが進行しても、タンパク質を含む食事を取って、運動することが悪液質を避ける秘訣。それは、ぴんぴんコロリの秘訣でもあるのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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