膵がんを知る

見つかった時は…手遅れになるまでわからない4つの理由

痛みの箇所も膵がん特有のものではなく分かりづらい(C)日刊ゲンダイ

 2つ目は胃や大腸といった他の消化器と違って筋肉層(固有筋層)がないためにいったんがん細胞が増殖を始めると周囲の臓器に浸潤しやすいことです。膵臓は十二指腸や脾臓、胃などに接しているほか、膵臓周囲には肝臓や消化管などにかかわる腹腔動脈や上腸間膜動脈、上腸間膜静脈、門脈などの重要な血管が集まっているからです。

 3つ目は自覚症状が乏しいことです。膵がんは初期症状がほとんどなく、進行すると腰や背中の痛みや腹痛、食欲不振、吐き気、腹部膨満感、黄疸などのほかに糖尿病の人は血糖コントロールが急激に悪化するといわれています。しかし、これらの症状は膵がん特有なものでなく、必ずしも表れるわけでもないことがわかっています。

 4つ目は血液検査でがんを発見するための目印となる有力な腫瘍マーカーがないことです。現在は「CEA」「CA19―9」「DUPAN―2」などが採用されていますが、膵がん特有なものではなく、治療効果や再発の目安に役立つことはあっても膵がんを見つけるために用いるのは難しい面があります。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

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