専門医が教える パンツの中の秘密

【セックス外傷】裏筋が突然裂けてコンドーム内が血まみれに

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 Bさんは以前から細菌などの感染で起こる亀頭包皮炎を繰り返している方でした。恐らく慢性的な粘膜の炎症が継続していたため、包皮小帯の弾力性が低下していたのでしょう。そこにセックス時のピストン運動という外的刺激が加わり突然、包皮小帯の断裂が生じたのでしょう。

 Bさんと違ってもともと包皮小帯が生まれつき少し短い状態の男性もいます。その場合、勃起したときにペニスが十分に伸展できず、亀頭が前側に傾いてしまいます。そこにセックス時の激しいピストン運動が加わると包皮小帯が断裂してしまうことがあるのです。

 いずれにしても包皮小帯が断裂したら、断裂面の接合手術の必要はありません。手術でつなげてしまうと再び断裂する可能性が高いからです。治療は、傷口に消炎用軟こうを塗り、感染予防のための抗生物質を飲む。傷口が自然に治るのを待つだけです。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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