上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

元祖「神の手」先輩医師との出会いが新たな挑戦へ駆り立てた

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 前回、今年から「MICS(ミックス)」と呼ばれる小切開手術に取り組んでいるというお話をしました。これまでは手掛けていなかったのですが、希望する患者さんが増えていることや、多くのデータが蓄積されて正当性が裏付けられてきたことに加え、自分に合った手術道具を選択すれば安全に行えるという手応えを掴みました。

 さらに、元祖「神の手」と称される脳神経外科医の福島孝徳先生と3年ほど前にお会いしたことも大きかったといえます。私より13歳も年長の76歳ながら、今も現役として第一線で手術を続けていて、米国を拠点にしながら世界を股に掛けて活躍されているスーパードクターです。

 初めてじっくりお話をうかがった際、今でも年間365日、手術をされているうえ、より速く、より完成度の高い手術に磨きをかけるために新しい道具や技術を追求し続けているとおっしゃられていました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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