膵がんを知る

膵がん早期発見のカギを握る画像検査 CTとMRIの違いと特性

最新ガイドラインは造形CT検査(C)共同通信社

 MRIは強い磁力と電波を体にぶつけて、体内の水素原子を揺さぶりそれを画像にする装置です。被曝はしません。粘膜の動きもわかるのでがん検査としては適しています。しかし、検査時間が長く、妊娠している人などは検査できません。心臓などにステントが入っている人など検査できない場合があります。

 ただMRIはCTとは異なり、造影剤を使わなくてもそのコントラスト分解能の高さから、内臓や粘膜、血流の情報が得られるメリットがあります。

 膵がんの多くは膵管に発生するため、膵液や胆汁という液体成分を抽出して調べるMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)も有用です。MRIで得られた画像情報をコンピューターで3次元構築するもので、膵がんの前駆病変であるIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)やMCN(粘液性嚢胞腫瘍)が発見できます。

 ちなみに「膵がん診療ガイドライン2019年版」は膵がんが疑われたときの造影CTの推奨の強さは「強い」、エビデンスの確実性は「B(中)」に対して腹部MRIの推奨の強さは「弱い」、エビデンスの確実性は「C(弱)」としています。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

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