進化する糖尿病治療法

「ゴルフ」「温泉」「ビール」の3点セットが脳卒中を招く理由

(写真はイメージ)

 ところがいざ、休憩所を出て駐車場に向かおうとすると、足がふらつく。自他ともに認める酒豪のAさんは、普段ならビールを数杯飲んだくらいで酔っぱらったりしません。最初は「珍しく酔っているのか」と笑っていた仲間たちでしたが、車までのわずかな距離の間に3度転倒したのを見て、さすがに異変を感じ、救急車を呼びました。

 救急車が到着した頃には、すでにAさんの意識はありませんでした。

 原因は脳卒中。救急搬送された先で緊急手術を受け、幸いなことに命は取り留めましたが、片足に軽いマヒが今も残っています。

 ゴルフは1ラウンド18ホール、約10キロ歩きます。糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱えている人にとって、やり方によっては命取りになりかねないスポーツです。Aさんはプレー後に脳卒中を起こしましたが、プレー中に脳卒中や心筋梗塞を起こしたという話もよく聞きます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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