膵がんを知る

膵がん検査「超音波内視鏡」 本当にCTやMRIよりも“優秀”か

(写真はイメージ)

 とくに膵臓は胃の真裏、十二指腸の真横にあるため観察が難しいのですが、EUSなら詳しく調べることができます。胃や十二指腸越しに膵臓を見ながら、内視鏡の先端から針を出して、がん病巣に差し込み組織を採取することも可能です。これを「超音波内視鏡下穿刺吸引法」(EUS―FNA)と言います。

 膵がんの9割は腺がんですが別のタイプもあり、病理診断が重要です。膵がんはそのタイプにより使う抗がん剤などが替わるからです。より良い治療法を選べば生存率が大きく変わってきます。

 肝心の画像診断能力はどうなのでしょうか?

「膵癌診療ガイドライン2019年版」がEUSの優秀さをうたっています。腫瘍性病変の拾い上げ診断の能力を存在診断能と言いますが、同ガイドラインではEUSによる存在診断能は97・7%。CTの87・6%よりも優れているというデータを掲載しています。異常部位についての質的な評価をする能力を質的診断能と言いますが、正誤率はEUSが89・6%に対してCTが85・1%との研究結果を紹介しています。2センチ以下の膵がんの存在診断能はEUSが94・4%でCTが50%、将来的に膵がんになるリスクが高い、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の経過観察についてもCTやMRIよりも優位性があるとしています。最近はガイドラインは作成に携わった委員の先生方が委員会投票をしてその結果を公表していますが、「膵がんが疑われるときにEUSを診断方法として推奨できるか」について、「行うことを推奨する(強い推奨)」が3%、「行うことを提案する(弱い推奨)」97%だったと報告しています。

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