直腸がんロボット手術で排尿障害や人工肛門は避けられるか

(中野医師提供)

 どれが最もいい治療法なのか?

「お腹に数個の穴を開けて鉗子という器具を入れ、医師が画像を見ながらメスや鉗子を動かす腹腔鏡手術が開始されたのは02年。それ以来、腹腔鏡が増え、現在、全国の直腸がんの手術の6~7割が腹腔鏡(ロボット手術含む)です」

■体への負担は腹腔鏡とほぼ同等だが

 ロボットも腹部の数個の穴から鉗子を入れ、画像を見ながら治療を行う点では腹腔鏡と同じ。しかし、腹腔鏡の鉗子が直線的な動きしかできないのに対し、ダヴィンチ専用の鉗子には関節があり、人間の手では不可能な角度の動きができる。腹腔鏡の欠点を補い、深く狭い骨盤の中でも正確・精密な手術ができる特長がある。

「がんを確実に取り除き、かつ自律神経を傷つけず排尿障害や性機能低下のリスクが下がる。だから駒込病院では、17年にロボット手術を導入してからは、9割以上をロボットで行っています。ただし、すべての手術にロボットを用いるわけではありません」

2 / 4 ページ

関連記事