直腸がんロボット手術で排尿障害や人工肛門は避けられるか

(中野医師提供)

 腹腔鏡もロボットも、あおむけで頭を25度ほど下げた特殊な体位で手術を行う。心肺機能が悪かったり緑内障で眼圧が高かったりすると、この体位が不可になり、開腹手術の適応となる。また、腹腔内に巨大な動脈瘤やほかの障害物がある時は、腹腔鏡の方が向いているケースがある。

 気になるのは、ロボットなら人工肛門を免れられるのか?

「人工肛門には一時的と永久的があり、永久的人工肛門が必要か否かは手術法(開腹、腹腔鏡、ロボット)で変わるわけではありません。直腸がんの位置、進行度、患者さんの年齢や生活環境、患者さん自身の持つ哲学を理解して、十分に話し合った上で決定します。ロボットだから人工肛門にならないわけではありませんが、当院では以前なら永久的人工肛門の適応となる直腸がん患者さんの約85%が、肛門温存に成功しています」

 肛門近くにできた直腸がんでは、手術後、一時的に人工肛門を設置し、2~3カ月後に閉鎖するケースが大半だ。

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