歯の疑問 ずばり解決!

認知症患者の歯科治療はできる時だけ少しずつ進めていく

訪問歯科診察もある

 付き添いの方に説明している間に外に出ていかれたときは、スタッフが裸足で全力で追いかけていました。

 前回の説明をほとんど覚えていませんし、同じ日に同じ話を4回話してくれた方もいらっしゃいましたが、いつも初めて聞いたように対応するのが大事だと思います。歯ブラシがしっかり使えていなくても、「前よりキレイに磨けてますね、その調子ですよ」といったように、否定的なことを言わないよう心がけています。

 治療も、その日その日で機嫌が変わるので、できる日には進め、できないときはできるところまで無理のないように進め、できたことを全力で褒めて……その繰り返しで少しずつ進めていきます。

 ただ、認知症の患者さんが歯科医院に通うのは家族に大きな負担がかかりますから、そんなときは生活されている地域の歯科医師会のホームページをチェックしてみてください。訪問歯科診療をしている歯科医師を探すことができます。

 とにかく最後まで笑顔で気持ちよく食事を楽しんで過ごしていただけるようにと、われわれ歯科医師も願っています。

(構成=小澤美佳)

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北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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