医師の常套句「様子を見ましょう」の真意

東京でもインフル流行 簡易キット診断は発症12時間後から

写真はイメージ

 心苦しいのですが、インフルエンザシーズンに入ると、こんな説明をすることがよくあります。綿棒で鼻の奥の分泌物を採取して簡易キットで調べると、インフルエンザを診断できますが、感染直後はウイルスが確認できず、診断できないことが珍しくないのです。

 インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~3日ほど。急に寒けがして、39度を超えるような高熱のほか、頭痛や体の節々の痛み、倦怠感を併発することも。重症化すると、インフルエンザ脳症や2次的な細菌感染による肺炎で命を落とす恐れがありますから、早期診断、早期治療がとても大切です。

 ところが、簡易診断キットで確実に診断できるのは、経験的に自覚症状が表れてから12時間ほどたってから。家族からの感染が疑われるようなケースでも、「あれ、おかしい」と思ってすぐ受診すると、診断がつかないこともあるのです。

 高熱のピークは発症から2日ほど。その後は、ゆっくりと解熱していきますが、学校保健安全法で第2種感染症に指定されているため、解熱後2日までは登校できません。1週間の自宅待機が勧められるのは、そのためです。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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