病み患いのモトを断つ

20~50代の6割が 台風19号で気になる気象病の原因は耳か

目まいがつらい
目まいがつらい(C)日刊ゲンダイ

 天気予報通りなら、台風19号は土曜から日曜にかけ本州を北上しそうだ。連休前半はじっとしているしかなさそうだが、体に不調を抱えている人は憂鬱だろう。急激な気圧の低下で、不調が悪化しかねないからだ。

 聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏が言う。

「天気と体調の変化には一定の関係があって、雨が降る前の日から『頭が痛くなる』といって受診される人はよくいます。気圧の変化で自律神経が乱れることが影響しているのでしょう。症状は、頭痛のほか目まい、肩凝り、関節や神経の痛み、耳鳴りなど幅広い」

 体は、空気の圧力を受けていて、同じ圧力で押し返すことでバランスを保つ。しかし、気圧が下がると、外から受ける圧力が低下。最新の研究では、耳の奥にある内耳に気圧の変化を感じ取るセンサーがあると考えられていて、気圧の変化に敏感な人は内耳から脳に送られる情報が過剰で、自律神経が興奮することでさまざまな症状を起こすという説もある。

「台風が接近する今の時季や梅雨、気圧配置が乱れやすい春も、このような症状に悩まされる人がよくいます」(西崎氏)

 台風のときは気圧の低下が急激で、痛みや目まいなどの症状が増悪しやすい。一方、低気圧が停滞する梅雨時は、弱い症状が慢性的に続く傾向があるというが、天気が変化しなくても気圧の影響を受けることがあるという。

「飛行機に乗ったら、キーンと耳鳴りがするのは典型的。それと似ているのが、高層ビルなどでエレベーターに乗って発症するケースです」(西崎氏)

 ウーマンウェルネス研究会の調査によると、梅雨時に不調を訴えると回答したのは約6割。対象は20~50代の男女約600人で、だるさや肩凝りが多かった。若手から中高年まで、かなりの頻度で気圧の影響で不調を感じていることが見て取れるだろう。

■お灸で予防しながら市販薬を

 では、そんな気象病を予防するには、どうすればいいか。

「自律神経のバランスを整えるには、首をお灸で温めるといいでしょう」と言うのは、「南石鍼灸治療院」の朴宰弘院長だ。気圧の影響を研究する医師の中には耳の血流の悪さを指摘する人もいるから、お灸で血流を改善するのはうってつけだろう。

 日頃からお灸で予防していても、猛烈な台風の気圧低下を受けると、発症は免れないだろう。つらい目を避けるには、市販薬を常備しておくといいかもしれない。

「たとえば、乗り物酔いのような目まいが主な症状なら、市販の酔い止めが効く可能性があります。痛みには、鎮痛剤が効果的。それで様子を見ながら、苦しければ、目まいなら耳鼻科、頭痛は脳神経科といったように適切な診療科を受診すべきです」(西崎氏)

 千葉を中心に、広いエリアで大きな被害をもたらした台風15号に続き、19号も猛烈な強さに発達している。気象病がつらい人は、市販薬やお灸でしっかり対処するといいだろう。

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