市販薬との正しい付き合い方

漢方薬を適切に選ぶには西洋薬との違いと見極め方を知る

 漢方薬は種類も豊富です。それだけに、「どうやって選んだらよいかわからない」や「どうせ効かない」といった声をよく耳にするため、適切な選び方や一般的に役立つ知識、裏話を紹介してきました。漢方薬を取り上げるのは今回が最終回になりますので、これまでのお話をまとめておきます。

「漢方薬の選び方がわからない」のは、西洋薬とは選び方が違うからです。

 西洋薬は標的となる疾患や症状に合わせて単一の成分を選択しますが、漢方は原因になっている疾患が特定されない場合でも、症状を「気・血・水」「陰陽」「舌の様子」「腹圧」といった西洋医学とは異なる見極め方(診断)によって適切な薬を選択します。

 その診断方法は漢方特有のものなので、それを知らないことには選びようがありません。ですから、「選び方がわからない」というのはもっともなのです。この連載では、具体的な見極め方のエッセンスをたくさん紹介してきましたので、参考にしていただければと思います。

 また、わからない場合は薬局や薬店で相談する。「効かないな」と感じたときには、薬を変えてみるというのもよいと思います。

「漢方は効かない」というイメージは誤解が多いことも説明してきました。効かないという方は、「症状に合っていないものを使っている」「体質に合っていないものを使っている」ということが考えられます。また、もともとの症状が軽いために、効果がわかりづらいというケースもあるかもしれません。

 漢方薬はれっきとした「薬」ですので、適切に使えば効くのです。そして漢方は自分で選んで買うことができる薬でもあります。適切に選び、適切に使用し、健康増進につなげるため、これまでのお話が一助となれば幸いです。

(おわり)

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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