膵がんを知る

膵がん手術を受ける場合 症例が多い施設の方が安心なのか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 153編の医学論文を抽出してメタ解析した結果、全死亡率低下と在院死亡率低下、手術関連合併症低下、在院日数の短縮が見られたとしています。

 もちろん、抽出された論文はすべて後ろ向き研究ですから、データ採取の条件などにばらつきがあり、信頼性が前向き研究に比べて高いわけではありません。

 それでも論文の中には1000例以上の研究が複数含まれていることから、一定の信頼性があると見るべきです。そしてその結果が「膵がん手術の症例数の豊富な施設の方が、膵がん手術において優位」だとしていることを患者さんは知っておくべきです。

 ちなみにガイドラインを作成した先生方の投票の結果は「行うことを推奨する(強い推奨)」が49%(19人)、「行うことを提案する(弱い推奨)」が51%(20人)でした。

 もうひとつ、「開腹」か「腹腔鏡下」かの選択を迫られ悩む患者さんもおられると思います。後者なら肉体的負担も軽くて済みます。しかし、膵がんは通常の開腹手術でも難易度が高く、腹腔鏡下手術では医師の技量や経験によって結果が異なります。2016年から保険適用が認められた腹腔鏡下膵体尾部切除術は条件を満たした施設でしか許されず、周囲の臓器切除や血管合併切除を伴う場合は保険適用になりません。

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