上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

中国の患者は日本ではありえない量の薬を処方されていた

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 中国の患者さんを診ていると、「そんな治療をしていたらトラブルが起こるのは当たり前でしょう」といったケースをよく目にします。多額の費用をかけてわざわざ日本にまで受診に来る患者さんですらそのような状況ですから、中国の患者さんの多くは疑問がある治療を受け入れてしまっているのです。

 こうした話を聞くと、「日本ではちょっとありえないな」と感じる人がほとんどでしょう。つまり、患者のレベルにも日本と中国では大きな差があるということです。そして、それは国民皆保険制度によって全国どこでも一定水準以上の治療を受けられるからこそのものだといえます。

■インドの医師は世界最先端を目指しているが…

 これがインドになると、また“景色”が変わってきます。4年前、世界のIT企業が多く進出しているバンガロールを訪れ、低所得者向けの病院と、富裕層向けの病院の両方を視察しました。圧倒的に人口が多い低所得者層の方が患者数も多いため、インドではできる限り無駄を省いた医療が行われています。手術の人員は必要最小限に抑えられ、手術機器もなるべく再利用する方針が徹底されています。病院は「できる限り効率良く患者さんを回転させる」ことに注力しています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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