医師もしたたかで、「環境を整えて公衆衛生を向上させ、生活習慣を改善しながら病気を治療していく」という考え方をするのではなく、「インドで公衆衛生や生活習慣の改善が世界レベルに達するには50年以上かかるだろう。しかし、いま目の前の病気は待ってくれない。だからわれわれは高度な医療を実践して世界と肩を並べるんだ」といった意識を強く感じました。平等に高度な医療が受けられる日本とは違い、インドの低所得者層は患者数が多いのに置き去りにされている印象です。医師がやろうとしていることは間違いとはいえませんが、医療者としての目標はずれているのではないかという疑問が残りました。
行われている医療だけでなく、病院、医師、患者のレベルも、日本はアジアで突出している。実際にアジア諸国を訪れたからこそわかる実感です。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」