進化する糖尿病治療法

遺伝子と関連 親が糖尿病なら子供も発症リスクが高くなる

写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ

 その理由は、まず遺伝子です。2型糖尿病は日本人の糖尿病の9割以上を占めますが、この2型糖尿病と関連が指摘されている遺伝子の数は200近く。中でも日本人の発症リスクに関係しているのが、11番染色体にある「KCNQ1遺伝子」です。KCNQ1遺伝子があると、この遺伝子からつくられるKCNQ1タンパク質によってインスリンの分泌が妨げられ、血糖値が下がりにくくなるのです。

 2008年、理化学研究所の前田士郎博士が、KCNQ1遺伝子には遺伝情報が1文字だけ変化した「リスク型」があることを発見。このリスク型を、2本ある11番染色体の両方に持つ人は、そうでない人の2倍、2型糖尿病の発症リスクが高いと発表しました。

 2型糖尿病発症と関係が深い遺伝子が親から子どもへ伝われば、親と同じく子どもも糖尿病発症リスクが高くなるでしょう。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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