男性も知っておきたい女性の病気

子宮頸部異形成<1>結婚を遅らせた理由のひとつでした

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 神奈川県内に住む地方公務員、青山文江さん(仮名・40歳)は、独身女性である。

 大学卒業後、地方公務員を選択し、20代、30代は好きな旅行や食べ歩きに青春を謳歌した。その間に、結婚適齢期を逃してしまう。

「少し恥ずかしいというか、両親にも詳しい話はできませんでしたが、子宮に問題があったことも結婚を遅らせた理由のひとつでした」

 母親は一人娘、青山さんも一人っ子である。それだけに母親は娘に、早い孫の誕生を期待した。

 35歳前後に、結婚寸前までいった男性がいた。

「でも、20代の頃から月々の生理日が不順で、30代になると、時々、出血が見られるようになりました。また、オリモノで下着を汚し、下腹部に不愉快な痛みが走ることもありました」

 子宮に問題があることは自分でもわかった。しかし、痛みが我慢できる範囲だったこと、親しい友人や同僚にも恥ずかしくて相談できなかったこと、治療が婦人科ということで、「もう子どもは産めませんよ」と診断されるのを恐れたことなどが重なり、受診を先延ばしにしたという。

「母から治療しなさい、と強く勧められたこともありましたが、“病院に行ったよ。問題なかったよ”とウソをついてしまいました」

 ギリギリまで我慢した青山さんだが、ついに自宅近くの産婦人科病院で診察を受け、子宮に関する2つの病気が原因だったことが判明する。

「子宮内膜症」(子宮内膜の組織が子宮以外の場所で増殖、剥離などを繰り返す)、「子宮筋腫」(子宮を形成している筋肉の一部が増殖)と診断された。

「しかし、2つとも手術をするほど病状が進行していません。しばらく経過観察をしましょうと言われたのです」

 その後、半年に1回のペースで定期通院をした。痛みがひどいときは病院を訪ね、「ロキソニン」などの痛み止め薬をもらっていたという。

 猛暑日が続いた今年7月、青山さんの子宮の病気に、さらにもうひとつの病名が加わった。

 40歳から受けられる「乳がん」「子宮頚がん」の無料検診を受診したところ、「子宮頚部異形成」が発見されたのだ。

 子宮頚がんの前段階ともいわれる子宮頚部異形成は、別名、子宮頚部上皮内腫瘍といわれ、20~30代に多い。とくに近年、急増し、注目されている女性特有の病気だ。

 病変によって軽度、中等度、高度の3種類に分けられるが、この病気の特徴は、自覚症状がないこと。自然治癒もあることから治療は経過観察でスタートする。

「診察の結果、私の病状は軽度でした。ただ、放っておくと子宮頚がんに進行する恐れがありますから手術を勧めますと言われました」

 すぐに手術したかったが、青山さんは職場の夏休みを待ち、8月に横浜市内の総合病院で手術を受けることにした。女性特有の病気への偏見を恐れたからだった。 (つづく)

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