後悔しない認知症

注目されている「認知症カフェ」の有効活用術

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 認知症になると多くの場合、人と会うこと、外出することに対して消極的になる。また、その子どもや孫も、相手の迷惑、事故の危険性などを考えて人に会わせること、外出させることに少なからずためらいを覚える。認知症の高齢者は、次第に家で一人で過ごす時間が多くなってしまう。その結果、脳を刺激する機会、日の光を浴びる機会、運動する機会が減る。これが認知症の進行を速めてしまうことになる。デイサービスはその意味でも有効なのだが、回数が限られる。この家族のように、機会を見つけてどんどん外出の機会、会話の機会をつくるべきだ。認知症の高齢者はもちろん、介護する家族にとっても気晴らしになることは間違いない。

■本人には刺激、家族には情報交換

 いま「認知症カフェ」が注目されている。厚労省は2012年に「オレンジプラン」と呼ばれる認知症施策5カ年計画を発表したのだが、その中で「認知症カフェの普及」を提言した。「認知症カフェ」という場での交流を通して、認知症進行を遅らせ、加えて認知症患者とその家族が地域の中で孤立してしまうことを回避する狙いのようだ。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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