Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

15~39歳のAYA世代は8割 若い女性にがんが多い今時の事情

乳がんと闘った故・小林麻央さん(C)日刊ゲンダイ

 ほかのがんと違って、乳がんを増加させる要因として大きいのが女性ホルモンの影響でしょう。女性ホルモンによって、乳がん細胞は増殖しますから。それと関連して見逃せないのが、晩婚化と出生率の低下などの影響です。

 栄養状態の改善で、日本人女性の初潮開始年齢が早まる一方、閉経年齢は遅れる傾向に。妊娠、出産、授乳の2年程度は女性ホルモンの分泌が止まり、乳がんのリスクが下がりますが、出生率の低下でその恩恵にあずかる人が減っています。

■乳がんの患者数は東京が鹿児島の2倍以上

 実は乳がんが最も多いのは東京で、最も少ない鹿児島の2倍以上なのは、東京の出生率が全国最下位なのと関係があると思います。都市部の便利な生活による運動不足や肥満も関係しているでしょう。

 そんなことが重なって乳がんの患者数は、ピークを打つ40代後半にかけて右肩上がり。2年前に乳がんで亡くなった小林麻央さんは、34歳の若さでした。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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