Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

15~39歳のAYA世代は8割 若い女性にがんが多い今時の事情

乳がんと闘った故・小林麻央さん(C)日刊ゲンダイ

 その次は、甲状腺がんと子宮頚がんの影響が考えられます。甲状腺がんは男女ともに発症しますが、男女比は1:3と女性に多い傾向。男性は60代以降に発症しやすいのに対し、女性は40代から増えるように男性より若く発症するのです。

 子宮頚がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因。HPVはセックスによって感染しますから、セックスの低年齢化に伴って子宮頚がんが増加傾向なのです。

 小児では、白血病や脳腫瘍、性腺腫瘍などもよく見られますが、AYA世代の女性特有の事情としては、これらが大きいと思われます。

 対策として、乳がんは2年に1回のマンモグラフィーと自己触診を、子宮頚がんにはHPVワクチンの接種が効果的。甲状腺がんは検査で見つかりやすいものの、進行が遅いタイプが珍しくありません。検診が普及した韓国では、過剰診断と過剰治療が問題になったことがありますから、治療の前にはセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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